Vanilla
「あ、あの、もう温まりましたから、流石に降ろして下さい……」

小さな声で恐る恐る訴える。

そこでやっと降ろしてくれた。

足が漸く地面に着いて解放されたけれど、変に落ち着かない。

だって目の前の朝永さんが何故か私をじぃーと見ている視線が気になるから。


何故にそんなに見つめてくるんですか……?


心臓はずっと速度を上げたまま。

すると突然、朝永さんが着ていたシャツのボタンを二個程外すと、それを脱いだ。

水を限界まで吸った朝永さんのシャツは、ボトッと大きめの音を出して下に落ちたけれど全く気にならなかった。

目の前に現れた朝永さんの裸体に釘付けになってしまったから。

だって朝永さんの……というか男性の裸体をマジマジと見たのは初めて。

無駄な贅肉は見当たらない、引き締まった綺麗な身体。
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