Vanilla
そこに私の偽物の彼氏登場。
朝永さんはテーブルにトレーを静かに置いた。
朝永さんは塩鯖定食にしたらしい。

それよりもだ。
朝永さんは何かを話す気があるのだろうか。
家だって必要以上喋らないのに。
朝永さん、絶対答えるわけ無いよね。
確かに空席は見当たらなかったけどさ、だからって質問攻めに遭いそうなこの席に座らなければ良かったのに——あ、もしかして。
朝永さんは穂香さんとは同じフロアで働く同僚程度で穂香さんの性格まで知らない?
私達が気楽に話し合っている間柄ってことも。
この席が空いていたから座っただけか。

ってことは、今度は朝永さんの前で穂香さんの質問攻めに耐えろということか……。

そう思うと胃が更にキリキリしてきた。


「どっちから告白したの?」

朝永さんが座るとまた穂香さんから質問が飛んできた。

なんて返そうか。
なんて返せば朝永さんに怒らせないだろうか。
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