Vanilla
今日の私は限界までお風呂に浸かっていた。
朝永さんが眠ってくれるのを待つため。
流石にのぼせそうになってきたし、喉の渇きが限界でお風呂から出た。
洗面所に置いておいた携帯で時間を確認すると一時間以上経っていた。

朝永さん、寝てくれたかな?なんて考えながらタオルで身体を拭き、下着をつけ、パジャマを着ようとしたら気付いた。

薄手の半袖のパジャマ、寒い。

昨日より五度低いだけある。
一時間浸かったが、一瞬で熱が消え去ったような気がする。

でも私には長袖は朝永さんが買ってくれたワンピースとカーディガンがしかない。
カーディガンを着れば何とかなるが、出勤の時に着て行くし……。
それにそろそろ長袖の服も揃えなくてはならない。
出費は痛いけれど、明日服を買いに行こうかな……。
今日もソファーで寝るし、とりあえずカーディガン着よう。

生きるってお金が掛かると憂鬱になりながら髪をドライヤーで乾かした後、カーディガンを羽織り、水を飲みに行こうと洗面所の戸を開けてリビングの扉を窺う。
小さな長細い曇りガラスがついているので、電気が点いているか分かるのだが真っ暗。

朝永さんは寝たようだ。
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