Vanilla
朝は早めに目が覚めた。
まだ外はほんのり薄暗い。

だって知らない男の人の家。
熟睡出来るわけが無い。

でも丁度良かった。
だって朝永さんと少しでも顔を合わせたくないし。
朝食を六時に作り終えると彼のマンションを出た。

私は携帯のGPSを頼りに駅へと向かう。
夜明け前、位置情報から現在地を調べた。

駅までは五分程。
しかも駅から会社まで一本で乗車時間は十分。

立地は文句無し。

朝永さんは絶対に遊びなのは分かっている。
きっとそのうち私に飽きる。
だって女性を取っ替え引っ替えだって噂が立っているくらいだし。

だから解放されるまでの時間、私は新しいアパートの資金と家具代を稼がなくては!

そんな事を考えていたらあっという間に会社に着いた。

私の勤めている会社は、海外でもなの知れた自動車メーカーだ。
ビルは十階建て。
中には沢山の事業部が入っている。
私の仕事は伝票や見積書の確認や入力だ。
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