Vanilla

「まだ落ち込んでんのか、つぐみは。そんなんで本当に朝永さんの家、出れるの?」


とっくに昼食を食べ終わった愛佳ちゃんの呆れた声を聞きながらお弁当を突く私。
あれから穂香さんと別れて愛佳ちゃんと社食に来た。
穂香さんに言われた事を説明したが、私が落ち込んでいる姿に愛佳ちゃんを疲れさせてしまったようだ。

「ごめんね……」

雰囲気を重くしてしまっていることに申し訳なくて謝った。

「確かに当日にお祝いすることに意味あるけどさ、同じ家に住んでるんだから帰ってきたらおめでとう言うとか、明日お祝いをしてあげれば?」

その言葉にハッとして。

そっか、今日はダメだけど、明日お祝いしてあげれば良いんだ。

というか、朝永さんを諦めようと決めたんだ。

ウジウジしても仕方ないじゃない。


これを最後にして、踏ん切りをつけよう。
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