Vanilla
「スープ作ってやったから」

まさかの言葉が飛んできて。

驚きすぎて目を全開にして立ち尽くしていると、朝永さんに腕を引っ張られて椅子に座らされた。

すぐに目の前に出されたのは、わかめと卵とごまが浮かんでいるおそらく中華スープ。
インスタントでは無い。
着替えるのに頭が痛くて十分はかかった。
その間に作ったの?
それとも昨日の残り物?

「食べたら薬な」

驚きながらスープを凝視していたら、テーブルに水の入ったコップと頭痛薬が置かれた。


ぶっ殺すの後に、なにこの優しさ。
この飴と鞭は反則だ。

胸の奥がギュッとなる。


「で、思い出したか?」

キュンとしていたら、その言葉と低い声に一瞬で心臓はヒヤリ。

私は視線を合わせられずに無言を貫くと、目の前から痛いほど突き刺さる視線しか感じない。


なんなんですか、今日の朝永さんは。
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