Vanilla
朝永さんもスープを持ってくると私の前に座り、スープを飲み始めたので、私もスープに口をつけた。
全身に温かさが染み渡る。
やはりインスタントの味では無い。
美味しい。

食べ終わるとすぐに頭痛薬を飲んだ。
朝永さんは仕事に行くから準備をしているお陰で会話もせずに済んだ。
寝室で寝たかったが、今から仕事に行くご主人様を放るのは怖くて、頭痛は相変わらずだがダイニングテーブルに突っ伏して待っていた。




「仕事に行くが、思い出したよな?」

二十分後、スーツ姿の朝永さんがダイニングで項垂れている私の所へ来た。
細い目の苛立ち全開の顔で訊かれると冷や汗しか噴き出てこない。


「も、申し訳ありませんっ!今日中に絶対に思い出しますっ!」

椅子に座りながら全力で頭を下げる私。

ここまで不機嫌にするほど、私って何を朝永さんにしたの?

朝永さんが支度中ずっと頭痛を感じながらも懸命に記憶を掘り起こしていたが、微かも昨日の夜の記憶は出てこなかった。
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