Vanilla
「穂香さんだってお酒に酔ってたんです!私にも朝永さんにも謝ったし、それにさっき許してあげてたじゃないですか!」

なんとねちっこい男なんだ。

「俺は別にって言っただけ」

シレッと返された。

ああ言えばこう言う……この減らず口!
朝永さんと居ると疲れちゃうからもう良い!

「私、ご飯食べ終わってません!返して下さい!」

私は右手を朝永さんに差し向けて、お弁当袋の返却を要求した。
お弁当袋は朝永さんが持ったままだから。

「え」

強気の態度に出ていた私だったが、ポカンとさせられた。
だってお弁当袋が右手に乗ると思ったのに、朝永さんに右手を掴まれたから。

「行くぞ」

「えっ!?ちょっと!」
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