Vanilla
「ありがとうございます……」

お礼を言いながら受け取ると、朝永さんは私の横に座った。

朝永さんていつもは無愛想だから、たまにみせる優しさがすごく際立つよね。
……卑怯だ。

「パーティーには行くなよ」

「……」

また掘り返した。
流石ねちっこい男。

「お前、面倒臭いとか思ってないよな?酔っ払いのお前を迎えに行ってやったというのに。タクシー代だってバカにならなかったんだけど?お前のせいなのに俺、お前に請求しなかったけど?それでも文句言うわけ?」

「……」

早口で捲し立てられたら何も言い返せないし、それについては確かに申し訳ないと思っていますよ。
もう朝永さんにはこの話は振らないでおこう。

来週の金曜日は勝手に行かせてもらいます。

「明日と明後日のお昼、朝永さんは家に居るんですか?」

朝永さんの怒りを鎮めるために話を変えることにした。
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