Vanilla
「行けば?」

そう言われて訊きたいことが沢山あるが、しー君との待ち合わせもあるし、

「い、いってきます……」

困惑しながらもやむを得ずそう返した。






「つぐみ、どうかしたのか?」

しー君の声にハッと我に帰ると、「何でもないよっ」と慌てて笑顔を張り付けて返した。
今は両親の墓参りを終えて、ファミレスで昼食をとっているところ。
私はしー君と居ても、昨日の夜からのことをずっと悶々と考えていた。
だがどれだけ考えても、朝永さんが何を考えているのかさっぱり分からない。

俺に襲われたくなかったらって……発情期だろうか?

「つぐみ、彼氏出来たの?」

「ゴホッ!」

考えながら飲んでいた烏龍茶で思わず咽せた私。
大盛りハンバーグセットをモリモリと食べていたはずのしー君がいつの間にか手を止めていた。
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