Vanilla
休憩の終わりの鐘が鳴ると同時にオフィスに入った。
終業の鐘が鳴るとすぐに席から立ち上がり、ロッカールームに走った。


「朝永さんの家を出ました」

ロッカールームで穂香さんを捕まえた。

もう穂香さんと朝永さんの事を話したくないから。


「そっか……つぐみちゃんの決断は間違ってないと思うよ」

もう演技している穂香さんを見たくないから。


仕事中に思い出したけれど、朝永さんの誕生日を教えてくれたのが穂香さんだってこと。
穂香さんが何を考えているのか理解出来ない。

私と同じ立場に立たされたら、朝永さんの事を追求する人も居るだろう。

でも私には出来ない。
追求したら、朝永さんまで責め立てられる可能性があるから。
こんな時でも朝永さんを守ろうとする私は馬鹿だ。

私が真実を聞く勇気が無いだけかもしれないけれど。
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