Vanilla
「私は話なんてありません」

眉を寄せながら返す。
だから私、もう全部知ってるの。

「昨日は何処に居た?」

こんなにも拒絶しているのに、朝永さんは私の言葉を無視して質問を投げてくる。

「貴方には関係のないことですから!」

イラッとしてガラにもなく大きな声で返してしまう。

「関係ある」

それでも朝永さんは退かない。

なんなのよ、この男は。

「だからーー「小嶋さんは俺のところに来たんです。朝永さん、邪魔しないで下さい」

横から声が割り入った。

杉森さんだ。

でも助かった。

「そうなんですよ。行きましょう、杉森さん」

私は杉森さんの腕を掴みながら笑顔で言った。




「勝手なことしてごめん」

オフィスから逃げ出た廊下の端、杉森さんが私に言った。
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