Vanilla
急かすようなキス。

食べられているみたいに朝永さんの舌が私の舌に絡み付く。

ちょっと待って、この展開。
先週に似すぎているし、さっき好き放題させろとか言っていた。


「まだご飯食べてない!」

私は朝永さんの唇から逃れるために顔を逸らして訴えた。

すぐに憮然そうな瞳を見つけた。


「さっさと食べないお前が悪い」

「ひどっ!」

「仕事があるからずっと我慢してた。これ以上焦らすな」

平日大人しかったのは、仕事があるからだったのか!


「お風呂も入ってない!」

「プロポーズしたのに素っ気無さすぎ。余裕ないの俺だけ?」


その一言に私は目を見開いてピタリと止まる。

何事も無くキスをし始めたから、私の勘違いだと思った。
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