Vanilla
次の日の終業後、穂香を捕まえると人気のない階段へと引っ張った。


「彼、お金持ちなの。でも彼とは遊びなの」

「は?」

穂香の口から出た言葉に呆気に取られた。

穂香は金が目的だと言った。
ここまでくると清々しい程だ。


「私が一番好きなのは秋哉だよ」

「は?」

更に訳の分からないことを言った。

呆気に取られっぱなしの俺の首に腕を巻き付けてくる穂香。

何を考えているかさっぱり分からない。


「今から秋哉の家に行こ?しよ?」

妖しく微笑を浮かべる穂香。

益々分からない。

「……お前は絶対入れない」

「何で?私のために引っ越したのに?私の一番は秋哉だよ」


俺の考えは穂香に全て見透かされていた。

でも穂香は俺と住むことを選ばなかった。
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