Vanilla
外は未だに激しい雨が降っているが、今の私には微塵も気にならない。

ここへ来て初めて心が落ち着いて眠れる気がする。

でも朝永さん、多重人格だから、明日にはまた元の朝永さんかもしれない。

そんな事を考えていたら中々寝付けなくて、奥から扉が開く音が聞こえてきた。
朝永さんがお風呂から出てきた。

明日も仕事だ。
早く寝よう。






「ベッドで寝ろ」


近くから聞こえた声に驚いて閉じていた目を開けた。

消したリビングの明かりが点いていて、私を見下ろしている朝永さんと目が合った。

私は動けない。

今の言葉の意味が理解出来ていないから。
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