御曹司と小説家の淡い恋模様
厄日でもどうにか、資料作成はできた。
内容も構成も1からやり直した。
あのまま資料を提出しても誰もわからない内容になってしまう。
この程度の実力でここの正社員と言うんだから笑えるよ。



気がつくと周りには誰もいなかった。
時計を見ると12時30分を過ぎていた。


昼食を誘ってくれる人もいない。
そして・・・・。

今日は昼食を食べている暇もない。
出来上がった資料をコピーしホッチキス留めしないと。

コピー機に向かいコピーを始めた。
この時間は唯一私がほっと出来る時間。

この、数分後。
小説のネタを考える。

時間を有効に使わないと。

「お疲れ様。これ、榎田さんが全部作ったの?」

いきなり、現実世界に引き戻された。
隣には宇津木課長が出来上がったばかりの資料に目を通していた。

「私はちょっと手直しをしただけです。」

本当の事は言えない。
正社員の業務を楽にする。
それが派遣社員の勤め。

だから口が避けても本当の事は言えない。
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