御曹司と小説家の淡い恋模様
自分のデスクに座ると、締め切り間近で原稿を書き上げた疲労感と同じ疲労感に襲われた。

ただ、1つ違うのは達成感が全くないと言うこと。

そして、これから起こるだろうできごとについて考えると頭が痛い。


宇津木課長は私に、“夕凪の奇跡”の広告を手伝わせたいんだ。

どこの世の中に、自分が書いた小説の映画化作品の広告を考える小説家がいるの。

そして、私の顔がバレてしまった場合、もう派遣社員として仕事ができなくなってしまう。


色々なことを考えると頭が痛い。
このピンチ、小説の中だったらどうなる?

最初はバレなかったけど、最後の最後でバレるパターン。
そして、世の中的に問題になる。
私も会社も批判をくらい、悪い方向に進むけど、スーパーマンみたいな人が出てきてハッピーエンドに終わる。

でも、現実は違う。
絶対に悪い方向にしかむかない。

会社は叩かれてもすぐに復活するだろう。
だけど、私はそうはいかない。

だったら、理由話して外してももらうのがいいのだろうか。
でも、それはそれで私の意図としない方向に動きそうだ。


「どうしたらいいの!!」



考えすぎてしまった私はついに声に出してしまった。




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