御曹司と小説家の淡い恋模様
8時15分。

我ながらよく出勤する準備が終わったよ。

いつもなら1時間はかかる準備に30分というハイペースでの準備。

ここまでくれば遅れる事はない。
だって、ここから職場まで5分で着くはずなのだから。

こういう日に限ってエレベーターが来ない。
すっかりエレベーター渋滞の事忘れてた。

5分待っても来ない。
始業時間まで後、10分・・・。


寝不足もあり、エレベーターのボタンを何度も押してしまった。

「そんなにイライラしてもエレベーター来ませんよ。」

隣には、私の作品が映画化された時に、主演出来そうな男性が立っていた。

「・・・すみません。」

こんな姿を見られてしまいとても恥ずかしくなり、床を見ていた。

次の瞬間私は腕を捕まれた。

「エレベーター来ましたよ。遅刻しちゃいますよ。」

私の腕を引きながらエレベーターに乗らされた。


「・・・すみません。」

私の素の姿を見られた上、エレベーターが来たのにも気がつかず、とても恥ずかしい姿を見せてしまった。

謝る以外に私には選択肢がなかった。

そして、2人しかいない空間。
気まずくてたまらないが、そういう時に限って他の階から人が乗って来ない。

エントランスまで着くがその時間が長く感じる。

エレベーターが開いた瞬間、私は男性に会釈をし、走り出した。





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