御曹司と小説家の淡い恋模様
「遅い。」

8時29分にタイムカードを押し、席に着いたのは8時30分。

言われてもしょうがない時間。

山口 雄大。
それでも営業部門で、まともに接してくれる人。

「すみません。」

私は素直に謝った。
今日は謝ってばかり。
厄日かというぐらい重なる。

私、だってわかっている。
小説家だからといって会社の仕事を手を抜いては行けないことぐらい。


「榎田さん、今日の予定は?」

急いでパソコンを立ち上げ、画面を確認した。
私は、山口さんの営業アシスタント。

大手広告代理店になると営業アシスタントという名の小間使いが宛がわれる。

山口さんはまだ、仕事以外の事は頼まれないが、人によっては不倫相手とのレストランを予約させられる人もいるらしい。

「今日は午前は大坂商社と打ち合わせ、その後午後から競合プレの打ち合わせです。」

「了解。」

私の机の上には多分まとめて欲しい資料が置いてある。
この8ヶ月この人の小間使いをしてわかった事。

資料をまとめる力が弱い。
というか文章力がなさすぎる。

今までどうやってやってたのか疑問で仕方ない。
大手になると小間使いがいるからその人がやってたんだろう。






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