俺様上司に、跪いて愛を乞え〜彼目線〜激甘編を追加
「……違う、そんなんじゃないから。だって部長は、間違ったことは言ってないし、徹夜明けだった私にもたぶん気をつかってくれて早く帰れって……」
彼女の言い分に、思わず足が止まる。
「気をつかってるなんて、そんなわけないでしょ? 気のせいだって! あの冷酷な部長が気づかいとか、するわけがないんだから!」
ひときわ高まる笑い声の中、
「……ううん、冷酷なだけなんかじゃないから……だって部長は、いつも頭ごなしになんて怒ってないし……」
彼女の声が耳に入って、まさかな……という思いが再び湧き上がる。
あいつが徹夜をしていた朝に、一瞬俺のことを理解しているかのようにも見えた表情は、やはり本当だったんだろうか?
彼女は、俺の胸の内を知ろうとしてくれているのか?
考えてみるが、すぐにはそれが信じられないまま、給湯室の前を通り過ぎた……。