俺様上司に、跪いて愛を乞え〜彼目線〜激甘編を追加
ーータクシーの中へ誘い込もうとしているところを寸前で捕らえて、
「おまえがいつもそうやって女性社員を狙ってるのはわかってるんだよ! これ以上同じことをくり返すなら内部に報告をしてもいいが?」
そう、言い下した。
舌打ちをして逃げ出した男が見えなくなって、改めて彼女に向き直り、
「おまえも、もう少し自覚を持て!」
わけもなく苛立って声を荒げるのに、彼女が怯えたように肩を震わせる。
「…ご、ごめんなさい!」
またしても謝られて、そんなにも自分は恐がられているのかとふと落ち込みそうになりながら、
「……だが、おまえも少しは気をつけろよ」
と、声を落として、せめてもの忠告をすると、
「すいません……」
と、しょげたような顔でもう一度頭が下げられた。
……なぜこうも謝られてばかりいるんだよ。
俺は、彼女にとってそんなにも恐怖の対象でしかないんだろうかと思ったら、少しくらいはこの状況を変えてみたくもなって、
「どうせ持ち合わせもないんだろう? だったら俺が送ってやる」
と、普段は滅多に口にしないようなセリフを、自分の方からかけていた。