俺様上司に、跪いて愛を乞え〜彼目線〜激甘編を追加
「え、部長がですか?」
文字通り目を丸くしている彼女を、
「いいから、早く乗れ」
と、タクシーへ乗り込ませた。
あまりやり慣れない行動に焦りが出て、いざ車内で家の方角を尋ねてみたら、自分とはまるで逆方向だったことに愕然とする。
どうして先に聞かなかったんだと、自分が考えもなしに動いたことに軽くショックを受けていると、
「…あ、あの私の家に泊まっていかれませんか?」
不意にそんな言葉を投げかけられて、驚きが隠せなくもなる。
自分の言っていることがわかっているのかとも思いながら見つめて、
「……おまえは、緊張感がないのか?」
呆れたようにも口に出すのに、それでも彼女はひるまずに誘いをかけてきた。
さっきの奴じゃないが、女の一人暮らしの部屋に男を招き入れるとかどういうつもりなんだよと思う。
……そう言えば、前に顔を近づけた時にも、赤くなっていたような……もしかして、彼女は俺を好きなのか?
アプローチを仕掛けるはにかんだような表情に、疑問が確信に変わる。
……そっちがその気ならと、自分でもまだ納得のいかない気持ちを確かめてみたくもなって、彼女の部屋へ行くことを承諾した。