俺様上司に、跪いて愛を乞え〜彼目線〜激甘編を追加
そんな折り、会社からの帰りに彼女を見かけた。
前を歩く背中がどこか寂しそうにも映って、(……また、仕事でミスでもやらかしたのか)と感じる。
思い返せば、あいつはいつも失敗ばかりをしていた。
手際が悪いんだよな、不器用で……って、不器用なのは俺も同じか。
俺はあいつと違って、手際がましなだけだ。
臨機応変にこなしている裏側で、実は必死に足掻いている自分を見せたくはなくて、ますます俺様気質に拍車がかかっているんだからどうしようもない。
……素直になれる分、あいつは俺よりある意味強いのかもしれない。
実際、あの華奢な身体で仕事の鬼と言われるような俺に、喰らいついてくるんだからな……。
それこそどんな失敗をして叱り飛ばされようとも、それでも挫けずに……とそこまで考えて、ふっ…と小さく笑いが漏れた。
どこまで彼女を買ってるんだよ、俺は。あんなにとろとろしてる人間が最も嫌いだったはずなのにな。
気づけば、あいつの姿をこうして追っている。
もうこれは自分に嘘はつけないのかもしれない……そんな風にも感じた目の前で、
彼女が躓いて勢いよくすっ転んだーー。