秘/恋
膝を抱えて体育座りをして、少しの間居眠りしていたかもしれない。
とんとん、と肩を叩かれて、あたしは顔を上げた。
「にゃっ!」
ぴたり、と額に熱いなにかを押し当てられて、悲鳴を上げる。
濃い影が、座り込んだあたしの上に落ちていた。
一年のうちに見慣れたヒヨコ頭が、風に揺れている。
「いい加減、サボりすぎじゃね?
進級できなくなるぞ」
「……あんたもね、樹也」
差し出された熱い塊――あつあつの缶紅茶を受け取って、あたしは顔をしかめる。
イヤなコトがあると、落ちてなにも手に付かなくなって、すぐ逃げる。
そんなあたしの欠席率は、結構高い。