秘/恋
「なんで、ここがわかったの?」
口にしてから、愚問だと思う。
「なぎからメール」
答えは、予想通り。
「明姫が落ちてるから、彼氏なら引き上げて来いってさ」
「なにそれ」
なぎ女王サマの云いぐさに、仕方なく笑う。
ひょい、とためらいなく、樹也があたしの隣に腰を下ろす。
拳ひとつ分の、手を伸ばせば抱き寄せられる距離。
寒そうに浅く息を吐く息遣いさえ、拾える近さ。
それだけ近づいても、あたしの身体は逃げを打たない。
本当にあたしは、樹也の存在に慣れてしまったんだ。