秘/恋



五限開始のチャイムを聞きながら、図書室奥の秘密の小部屋のソファに身体を沈める。

これで、午後の授業も全滅。

なんのために学校に来たのか、さっぱりわからない。


「あきちん、エサ」


がたつくパイプ椅子に座ったなぎが、黄色い箱を投げてくれる。


「ありがとー」


正気に返ると、しみじみお腹が空いている。

てのひらで受け止めたカロリーメイトを、ありがたく拝んだ。

しばらく、頬杖をつくなぎを前に、もそもそと口を動かす。



< 121 / 219 >

この作品をシェア

pagetop