秘/恋



子供みたいに手をつないで、手を引かれて、歩く。

もう半分おとなになったあたしには、少し恥ずかしくて、少し後ろめたい行為。

でも、驚くほど周囲に反応はなし。

薄暗くなった街を歩くおばさんや子供、同い年くらいのめざとい女の子たちだって、手をつなぐあたしたちを、気に止めない。

理由は、わかってる。

あたしたちが、似すぎているから。

同じ匂いがしすぎているから、浮いたお話のネタには不適切。

『兄妹なのね』。以上終わり。


指を絡めたあたしたちだけ、過剰に意識し合っている。


触れ合った肌から溶け合っちゃいそうな気持ちに、半ば酔っている。



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