秘/恋
……にい……
今日も今日とて、明良とあたし、手をつないで歩く。
駅までの、道のり。
いつもより長く、いつもより短く。
自然に決まっていた、樹也との待ち合わせ場所も、通り過ぎる。
当たり前みたいに、彼はいなかった。
ほっとしたような、微かに残念なような、針の先ほどの痛みが胸に落ちる。
――終わっていくものの気配は、いつだってこの上なく、寂しい。
「明姫?」
狙い済ましたような、明良の声。
あたしは、ぐっと奥歯を噛んだ。
「手、離して。恥ずかしいから」
「俺、恥ずかしいと思ってないし」
「あたしは、思ってる」
「俺は、明姫がなに考えてるか、わかってる」
「……話になんない」
あたしはため息を吐く。