秘/恋
……よん……
明良に手を引かれ、改札を抜ける。
どこに行くのかも訊けず、子供みたいに連れられていく。
つないだ手から、かすかに伝わる明良の気持ち。
かすかにぴりぴりと、静電気をまとっているみたいだった。
「うみ」
短く、小さく、つぶやく。
子供みたいにつたなく、響いた。
「わかってる」
明良の返事も、短かった。
明良のもやみたいな不機嫌さにつられて、あたしの気分も斜めに傾いでいく。
困惑からはじまって、ご立腹にたどり着くゆるいスロープ。
ころころ遠慮なく、転がっていく。
あたしは喉に、力をこめた。
「明良、待ってよ」