秘/恋


今日の天気は、曇りがちの晴れ。

あの日よりも日差しは弱々しいながら、白く細い道を照らし出している。

道端に張り出た露台のチープなお土産物も、ひかりを浴びてセピアっぽい空気をまとう。

なんとなく、感じのいい風景だ。

じゃりじゃり舗装されてない道に靴底がめげても、気になんてならない。

――それと、手。


「いい気分」


思わずつぶやいたら、明良が唇だけで笑った。

つないだ手はあたしとおなじくらい、白く明るい感情を伝えてきて、ますます嬉しくなる。


「こけるなよ」

「こけないよ。子供じゃないもん」


明良のからかいに、あたしは頬をふくらませる。

あたしと同じつくりのくせに、やけに綺麗に見える横顔は、穏やか。

ゆるくすがめられた瞳だけで、あたしのこころも満たされる。


――そう、あたしは、もう子供じゃない。


だから、わかることだって、ある。



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