秘/恋
……ごお……
「着いた……」
白いじゃりが敷かれた、そっけなくまっ平らな海浜公園。
ところどころ意味不明なオブジェが立つその向こうに、不透明な水色のさざなみ。
「着いちゃった……」
砂浜もなく、澄んだ水もなく、でも確かにここは、あたしが希んだ海。
隣で、明良がおなじように、遠くの波間を見ている。
水際に寄って、海水にふれたり。
波とたわむれたり。
そんな気持ちには少しもなれなかった。
道々の浮いた気分はしんと静まり、あたしはただ、黙って待っている。
明良の、言葉を。
「明姫」
「わかってる」
つないだ手のかたい強張りが可哀想で、あたしはせめて、笑ってみせた。
「あたしは、わかってるから。
明良の連れてきたかった【果て】は、ここまでだって」