秘/恋
……なな……
どろどろに重たい泥の底。
頭のてっぺんまでずっぽりはまりきりながら、それでも必死で息をしようとあがいてる。
足で水を蹴ろうとしても、泥に飲まれる。
手を、指先を伸ばしても、光なんて見えない。
――あたし、このまま死んじゃうんだ。
いまさら悟って、自分のこころに残った気持ちを確かめようと、感覚の瞳をこらした、瞬間。
あたしは、目を醒ました。