秘/恋
『大事を取って、一泊していってくださいネ』
あまり信用できなそうな、若い先生の言葉で、あたしは病室にひとりぼっち。
消灯後の部屋で、真っ黒な天井を眺めてる。
なぎも樹也も、時間ぎりぎりまで粘ってくれたけれど、
面会終了のお間抜けな音楽と一緒に、太めのナースさんに掃き出されてしまった。
保護者であるはずのじいさまは、来ない。
そんなものだって、知ってた。
だからじいさまは、あたしたちに云い聞かせていたんだ。
めんどくさい保護者になんかなりたくないから、お互いで、お互いを守れって。
わかってる。
わかってた。