秘/恋
【願い事は、みっつ】
もし神さまが、
みっつ願いを叶えてくれると云うならば。
俺はきっと、みっつ分の願いを、ひとつに使う。
俺の願いは、いつでもひとつ。
その願いは大きな枝葉がそよぐほどに育ち、肉に骨に根が絡み付いていて、たぶん一生、剥がれない。
俺は、願う。
明姫を――俺の実の妹を、俺にください。
マトモかどうか考える以前に存在する、生のままの想い。
――それが『しあわせ』かどうかなんて、わからないけれど。