秘/恋
……ぜろ……
「明姫(あき)」
そう呼ばれるのが、
好きだった。
大好きなのは、
息をするよりも自然なこと。
そんな風に思っていた、
無邪気でバカだったときから。
素直な感情なんて、
口がさけても吐き出せない
お利口さんになった、
いまこの瞬間も。
明良(あきら)の
あたしの名前を呼ぶ声が
あたしは本当に心底、
それこそその声を聴きながら死ぬのが夢だなんて夢想するくらい
本気で本能で、
……いとおしいんだ。