秘/恋
「『おにーちゃんが
世界でいちばん好きなの!
だからおにーちゃんとなら
地獄に堕ちてもかまわない!』」
わざとらしく甲高い声をあげてから
その似合わないっぷりに
あたしは肩を落とした。
「……そういうアホな一途さがあれば
もうちょっと
楽かもしれないけどね」
「意外と似合うかもしれないよ?」
ひとり芝居を見物していたなぎが
にやにや笑う。
「アホな自分は、あたしがイヤ」
その割には
そんなに
賢くなれないんだけど。