秘/恋
遠くから、
誰かの
ひどく焦った足音。
屋上への階段を
上ってくる。
「ああ、来たね」
「いちごみるく?」
「と、メインディッシュ」
なぎのセリフはやっぱり、
意味不明。
ほどなく
騒々しい音を立てて
屋上の鉄のドアが開いた。
なぎが、にやりと笑う。
「あきちんに、コイツ、貸してあげる。
だから、恋愛ってヤツ、
試してみなよ?」
なぎのとんでもない言葉に
知らず視線が流れる。
そこには
両手にコンビニ袋を下げた男子が
肩で息をしながら、
立っていた。