秘/恋
とろりと
ハチミツみたいに重たく伸びた一瞬のあと。
明良が、あたしを放した。
「消毒」
吹いた言葉が、心底ふざけている。
「あたしは!」
ヒステリックなあたしの声を無視して、
明良は淡々と玄関の鍵をかけた。
チェーンロックまで、しっかりと。
出鼻を挫かれて、萎える。
「……あたしは、あんたがなに考えてるのか、全然、全然わかんない」
感情が上がって、下がって。
毎日が精神的ジェットコースター。
ちっとも、安らかな気持ちになれない。
なんでこんな関係になっちゃったんだろう。
どうにかしてほしいのに、
不安定ないまのほうが、
明良を好きな気持ちが濃く煮詰まっていく。
不毛で、苦しい。