秘/恋
わずかにかがんだ明良が、
頭の上に落としてきたキス。
明良の背中が、
当たり前みたいに
リビングに吸い込まれていく。
磨りガラスを透かす暖色の光。
じいさまの低い声。
明良の押さえた笑い声。
――当たり前の団欒。
「は……」
両目を片手を覆って、天井を仰ぐ。
――壊したく、ない。
だから、明良への想いも、ただの錯覚にしたいんだ。
――そういう気持ち、
本当にあんたはわかっているの……?
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