秘/恋



「じいさま?」


ざさっと、血の気が下がる。

ただでも睡眠不足でぐらついていた頭が、
ゆっくり一回転した。


「なんのこと?」


――どこまで、知って……
気付いているの?


探るような目をする自分を、隠し切れる自信も、ない。

そんなあたしの動揺をよそに、じいさまは淡々と続ける。


「おまえたちがぎくしゃくしていることくらい、見ていればわかる」

「ぎくしゃくなんて」

「ふたりだけになって、少しは解決したかと思えば、悪化したか」


溜め息をついて、
じいさまはあたしを
――あたしの瞳の奥を覗き込むように、
あたしを見る。

こんな顔をするとき、
じいさまが云うことは、
決まっている。



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