秘/恋
早朝の住宅地。
午前七時。
――なんで、ここに三荻樹也がいるのかな?
ボケた頭の十センチ向こう側で、考えた。
「迎えに来た」
テンション極低のあたしに対して、
朝っぱらから樹也は元気そう。
片手に下げていたコーヒー缶をゴミ箱に投げて、かつかつ軽快に歩き出す。
寝不足で斜めになったあたしは、
それだけで逆恨みモードに陥りそうになる。
「せっかくだから、彼氏彼女らしいコトしよう。まずは、同伴通学ってコトで」
やる気満々の、樹也の声。
「い」
「別に、あんたの希望は関係ないね」
『イヤ』と口走りかけたあたしを、あっさり樹也が遮る。