秘/恋



「相変わらず、学食嫌い?」


そんな魔の巣窟(あたし的には)の一角を陣取って。

真っ正面に座ったなぎが、
小首を傾げる。


「まあ、コメントは控えます」

「……」


前傾気味の視線だけで、あたしはなぎを見る。

なぎの前には、
小岩のような唐揚げがフカフカの千切りキャベツに鎮座した、唐揚げ定食(ご飯特盛)。

いまにも突っ伏しそうなあたしは、
ぺらぺらのパンにハムと輪切り卵が挟まった、薄っぺらいサンドイッチだけ。

あたしはなぎが好きだし、
なぎもあたしが嫌いじゃない。

だけど。

あたしたちは絶対、感覚を共有できないと思うのは、
こんな時だ。

別にそれが、嫌なワケじゃないけれど。



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