秘/恋
「ごめん。付き合わせてごめん。でもやっぱり無理。あたしは……」
『明良が、好き』
そう続けようとしたあたしは、突然、樹也に引き寄せられた。
「な……ッ」
きつい力で抱きすくめられ、息が止まる。
がりがりに見えた腕も、薄い胸も、抱き締められてみると強くて、堅い感触。
しっかりと張った筋肉はあたしとは造りが違って。
――明良と同じ、男の子なんだと思った。
「まだ、やめてなんかやらない」
押しつけられたシャツごしの胸から、直接樹也の声を聴いた。
「俺も、あんたには期待してるから」
「期待?」
小さく、繰り返す。
耳元にみじろぎを感じて、あたしは樹也がうなずくのがわかった。