秘/恋
「あんたは、なぎとは違う美人だ。性格も、なんでなぎの親友なのかわかんねえ」
「……悪かったわね」
ダメなオンナのレッテルを貼られたようで、ムッとする。
そんなあたしに構わず、樹也は話し続ける。
「でも、興味がある。
ずっと一緒にいたら、なぎを考えるよりも長く、あんたのことを考える日がくるかもしれない」
「そんな、期待?」
「充分だろ」
両腕で囲われて、身体で声を聴いていると、相手の感情が、必要以上にわかってしまう。
「……うん。充分だね」
笑ったふりして、寂しんだり、苦みを噛んだり。
あたしの自由を奪う腕が、縋るように感じたり。