秘/恋
「なに?」
「一年、経っちゃったね。
あたし、あきちんたちがこんなに長く続くと思っていなかった」
「ひどいね。なぎが引き合わせたくせに」
「一石二鳥だと思ったの。本当は」
なぎは机の上に両手を重ね、懺悔するように云う。
「ごめん」
さらっとした声。
きっと、なぎはあたしの返事なんて、見越している。
「知ってたよ」
なんとなく、ふてくされた調子になったのは、修行不足。
こういうときに、予想外の反応が返せるオトナになりたい。
「ねえ、あきちん」
そう、こんなときに。
「あきくん、志望校、関西だって、知ってる?」
こんな風に。