秘/恋



樹也の家がある地域は、【住宅地】と呼ぶよりも、【お屋敷街】と云うほうが、ぴったりハマる。

高い塀。

立派な門構え。

塀からちらりと見えるのは、丁寧にひとの手の入った枝葉。

なんだか、よくできた模型の街みたいだ。

作り物の街に置かれた、駒のあたし。

あたしの気持ちによって、あたしの瞳に映る街は変化する。


今日はちょっと、薄暗い風景だ。



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