先輩、気付いて下さい。
頭を下げて手を差し伸べてくれている
蒼空君に
ヒュー――!と周りが
盛り上がる。


「篠田さん!返事は!」


催促され


「私は____」


「結衣!!!」


騒がしい体育館の中に
私を呼ぶ大好きな人の声が響いた。


「雄哉先輩…」

どうして、ここに…?


観客をかき分けて
ステージへ近づいてくる雄哉先輩。
そしてぴょんっとステージへ登ってきた。


雄哉先輩の行動に
私を含め、その場にいた全員が
呆気に取られ
声を発する者はいなかった。


静まり返った体育館の中。
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