once again
「高瀬っ…!」

呼び止めたけれど、高瀬はそのままエレベーターで行ってしまった。

「匠!どういう事だ!」

匠に詰め寄った。

「言っただろ、お見合いだって。社長からの命令だからな。今日は夏帆さんをエスコートしてくれ。ちゃんと日は改めて会席の場は持つらしいけどな」

「な、なんだって!」

「ごめんなさい。私が父に、蓮さんと会ってみたいって話したんで、急な話ですみません」

俺達の話に、見合い相手の彼女、夏帆さんが入ってきた、ら

「夏帆さんは悪くないですよ。専務も急だったんで、驚いているだけです。では、私は失礼します。専務、後はよろしくお願いしますね」

「え?あ、おい!」

「蓮さん?」

「あ、…じゃ、行きましょうか?」

夏帆さんと二人にされてしまい、鏑木物産との関係も潰す訳にもいかず、俺は仕方なく彼女をエスコートした。

「如月専務、来て下さってんですね」

「これは、柳井さん。今日はお招きいただきありがとうございます。30周年おめでとうございます」

「いえいえ、おや?今日は一人じゃないんですね。こちらの方は専務さんのいい人かな?」

「あ、彼女は鏑木物産の…」

「鏑木夏帆です。今日は蓮さんが誘ってくれたので、来させていただきました」

誰も誘ってないのに…
勝手に話を進めるって、この女…

自分でも多分顔に出ていたんだと思う。
柳井さんが気を使ってくれた。

「ま、ゆっくりしていって下さいね」

頭を下げてその場を離れた。

「蓮さん。私、あなたと今日会えると聞いて、とても嬉しかったんです。はしたないと思ってるで賞?父に頼んでこの場を設けてもらうなんて…」

「え、いや…」

仕事の一環だと思い、彼女の対応をして話を合わせてきたが、やたらと、体を密着させて俺に寄りかかってくる、鏑木物産のお嬢さんの対応に困っていた。

「夏帆って、呼んで下さいね」

腕を絡めながら、俺を上目遣いに見てきた。

もうダメだ。

「夏帆さん、父とあなたとのお父様が何を話したか分かりませんが、私はまだ特定の人を決めるつもりはないんです。あまり期待しないでいただきたい」

有効な関係を続けようと、今日は我慢しようと思っていたがそうも言ってられなくなっていた。
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