once again
結局、月曜日になっても専務から電話がかかってくる事はなく、室長が言ったように、専務はあの夏帆さんと関係を持ったと、思ってるんだろうか…
室長ならやりかねない…

重い体を引きずるように、会社へ向かった。

「おはようー。涼香」

「あ、おはよう」

後ろから声をかけられ振り向いた。

「…え?どうしたの?涼香!大丈夫?」

美玲は私の顔を見て驚いていた。

「何が?大丈夫だよ?」

「何が?よ!そんな顔して!何があったの!」

肩をガシっと掴まれ揺さぶられた。

「美玲、痛い…」

「あ、ごめん。だけど、本当どうしたの?」

「今日、時間ある?」

「え?あるよ、って言うか、仕事出来るの?」

「多分出来るよ。大丈夫。夜私のマンションに来て?いいかな」

「分かった。無理だったら仕事早退しなさいよ?」

「ありがとう…大丈夫だから」

会社の入り口で、別れた私は専用パスを使って8階に向かった。


8階に着いた。
はぁ、ここでまた戦わなきゃならないのか、今日の私は負けそうだな。

気持ちを入れ替え、秘書室に入った。

「おはようございます」

「おはようございます。あら、高瀬さん顔色悪いけど、昨日は遅かったのかしら?」

来た、乾志保だ。

「……」

「無視するの?」

「いえ、失礼します」

相手するのも疲れる。
まだ切り替えせる程の力は出ていない。
「なんなのよ!ちょっと待ちなさいよ!」

「はい?なんでしょう?仕事に関係ない話でここに留まる気もないんですけど?」

「なんですって!」

憤る乾志保を置いて、専用エレベーターに向かおうとした。

私自身、意識がそこまでなかったのかもしれない、新家亜都子が私が歩く前に足を出していた事に。
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