once again
専用エレベーターで、地下の駐車場まできた室長は、自分の車の助手席に私を乗せた。
「足痛むか?」
「いえ、今は大丈夫です…」
「すまない、乾達の事は俺が悪かった。あそこまで陰湿だとは…」
「室長、謝らないで下さい。元はと言えば、私が乾さんが話しかけたのを無視したのが悪いんですから、気にされると、申し訳なくなります」
「そうか…、こんなになるまで悩ませんだな、すまなかった」
「えっ…?」
室長は私の頬に手をあて、親指で目の下をなぞった。
「泣いた跡が残ってるよ」
「あ、すみません」
顔を逸らした。
「いや、全て俺が…」
「匠!何やってるんだ!」
「え?」
「あっ…」
顔を上げると、専務が室長に飛びかかっていた。
「お、おい、蓮、違うんだ…」
「な、何が違うんだ!俺は…」
「専務、誤解です。室長は何も…」
専務の手が室長から離れた。
「ふっ、そうだよな。今の俺が怒れる立場なんかじゃないよな。匠、セクハラはやめろよ、ただそれだけだ…」
「専務…」
きっと、室長が言ったように夏帆さんと関係を持った事を気にしてるんだろう。夏帆さんではなく、私なんだけど。
室長に向けた、握りしめた拳が静かに下された。
「蓮、高瀬が怪我をしたから、病院に行ってくるよ。急ぐから、悪い」
室長は、専務にそれだけ言うとエンジンをかけて車を発進させた。
「病院、どこでもいいかな?」
「…はい、でも本当に、私1人で行けますから…」
「いや、素直にここは従ってくれ」
「…はい」
10分程して病院に着いた。
「え、ここ…」
「成南総合病院、同級生がいるんだ。すぐに診てもらえるから、ちょっと待ってて」
それだけ言うと、専務は病院の玄関の方へ走って行った。
成南総合病院、そこは私も知り合いがいる病院だった。
少しして、車椅子を押しながら室長が車まで戻ってきた。
「今ちょうど、空いてるから診てくれるって。俺に、抱かれるのも嫌だろうから、車椅子借りてきた。さ、座って」
「え、歩けますよ、大丈夫です。あっ…」
歩こうとして、バランスを崩した。
「ほら、無理はしない方がいい、座って」
「はい」
私は室長に言われるままに、車椅子に座った。
「足痛むか?」
「いえ、今は大丈夫です…」
「すまない、乾達の事は俺が悪かった。あそこまで陰湿だとは…」
「室長、謝らないで下さい。元はと言えば、私が乾さんが話しかけたのを無視したのが悪いんですから、気にされると、申し訳なくなります」
「そうか…、こんなになるまで悩ませんだな、すまなかった」
「えっ…?」
室長は私の頬に手をあて、親指で目の下をなぞった。
「泣いた跡が残ってるよ」
「あ、すみません」
顔を逸らした。
「いや、全て俺が…」
「匠!何やってるんだ!」
「え?」
「あっ…」
顔を上げると、専務が室長に飛びかかっていた。
「お、おい、蓮、違うんだ…」
「な、何が違うんだ!俺は…」
「専務、誤解です。室長は何も…」
専務の手が室長から離れた。
「ふっ、そうだよな。今の俺が怒れる立場なんかじゃないよな。匠、セクハラはやめろよ、ただそれだけだ…」
「専務…」
きっと、室長が言ったように夏帆さんと関係を持った事を気にしてるんだろう。夏帆さんではなく、私なんだけど。
室長に向けた、握りしめた拳が静かに下された。
「蓮、高瀬が怪我をしたから、病院に行ってくるよ。急ぐから、悪い」
室長は、専務にそれだけ言うとエンジンをかけて車を発進させた。
「病院、どこでもいいかな?」
「…はい、でも本当に、私1人で行けますから…」
「いや、素直にここは従ってくれ」
「…はい」
10分程して病院に着いた。
「え、ここ…」
「成南総合病院、同級生がいるんだ。すぐに診てもらえるから、ちょっと待ってて」
それだけ言うと、専務は病院の玄関の方へ走って行った。
成南総合病院、そこは私も知り合いがいる病院だった。
少しして、車椅子を押しながら室長が車まで戻ってきた。
「今ちょうど、空いてるから診てくれるって。俺に、抱かれるのも嫌だろうから、車椅子借りてきた。さ、座って」
「え、歩けますよ、大丈夫です。あっ…」
歩こうとして、バランスを崩した。
「ほら、無理はしない方がいい、座って」
「はい」
私は室長に言われるままに、車椅子に座った。